落語で有名な芝浜というネタがあります。
酒好きの亭主が働かずに酒ばかり飲んでばかり、それでも妻に言われて働きに出れば魚売りで天秤を担いで魚を街で売り歩いていました。それから浜で財布を拾ってから色々あるのですが、今回は天秤棒を担いで行う江戸の仕事の話です。

天秤棒といわれてもわからない人に説明として棒を担いで左右に荷物を積んで運ぶための道具。

魚を担いでいるのが棒手振り

江戸時代は街でのお店をもたずに商売をしていた人たちが商売をするためには市場で野菜や魚を買ってそれを天秤棒で担いで町を売り歩いていました。

売り歩いている商品は様々で、野菜や魚、醤油や塩、かわったもので箒やザルなどといった日用品まで様々、他にも一人暮らしの多い江戸の町では料理の手間を省くために惣菜を売っていたりしていました。

季節によって金魚に風鈴、朝顔や鈴虫など色々な物をになって商売していました。

棒手振りは天秤棒さえあれば元気で声を出せる人なら誰でもできる商売なために思い立ったらすぐにでもできるのが棒手振りでした。

落語で家を追い出された若旦那が棒手振りをおじさんの勧めで次の日からやるという話がありますが、江戸時代も同じように冬にはうどんを担ぎ、夏には鈴虫を売り歩く人はいました。

そんな棒手振りを幕府は許可制にしていました。しかし、棒さえあればできる商売、許可など無視して商売をする人は多くいたようで江戸時代の間なんども幕府から制限が出されていました。

惣菜や魚、野菜などを商売している人たちは雨の日でなければ「先々の時計になれや小商人」という言葉ができるほどに同じ時間に同じ場所を回って固定の客に商品を持って行くことで安定した商売をしていたようです。

とはいえ担ぐにも限界があるのでどうしてもそれほど高い売上にはならないため扱う商品によって違いはありますが普通は1日8000円程度で商品の仕入れなどを引くと生活していくのがやっとと要った稼ぎだったようです。