蚊帳は江戸よりも前の時代にも出てくるほど昔からある夏から秋にかけての必需品でした。

蚊帳とは1mm程度の網目になったネットで、この蚊帳を部屋の四隅から吊るすことで内部に空間を作りその中に虫が入らないようにすることで寝るときも静かに寝ることができる道具です。

鈴木春信 蚊帳

簡単に言えば部屋の中にメッシュ状になったテントを張ってその中で寝るといったイメージで良いかもしれません。

今の時代では蚊取り線香の発展と家の隙間がなくなり、網戸がしっかりとしているので使われなくなり知らない人のほうが多いいものですが、蚊帳は古代エジプト時代から蚊が生息するような熱帯の地域で利用されてきました。日本では中国から伝来して貴族から江戸時代頃には町民へと普及していきます。

江戸の町は輸送を便利にするために町という町に川を張り巡らせていました。そのためにどこでも蚊が発生するという不便さがありました。

また、蚊は伝染病の媒介としての問題もあることからは江戸の町には蚊帳を売り歩く振売が町中を流しながら売り歩いていました。

そんな蚊帳が庶民に広がる前の時代や蚊帳を持っていない人たちはどうしていたかといえば、虫が嫌う成分を持つ植物をいぶすことでその煙を使って虫を追い払っていました。

蚊遣りと呼ばれる方法で万葉集にも出てくる方法で、蚊取り線香も同じように燃やすと虫が嫌がる成分を出して虫を遠ざけるので似たような方法です。

蚊遣りは”蚊火””蚊いぶし””蚊くすべ”などと呼ばれ木片や薬草のような植物を燃やして蚊を追い払いました。

蚊帳は昭和の後期には網戸やアルミサッシの普及で日本では見なくなりましたが、実はアフリカや東南アジアでは今も販売をしており、日本は2003年に3年間のあいだに200万張以上の蚊帳をODAやユニセフを通して世界中に配りました。