江戸時代初期の出来事を、1635年(寛永12年)から1639年(寛永16年)まで年表形式でまとめました。

この時期は、江戸幕府が大名統制・海外渡航・キリスト教対策を一気に強めていく時期です。 参勤交代の制度化、出島の完成、島原天草一揆、ポルトガル船の来航禁止など、のちの江戸幕府の体制につながる出来事が多く起こりました。

徳川家光の時代に、幕府の支配がかなり具体的な制度として固まっていく流れを追うことができます。

色分けの見方

  • 江戸・幕府:江戸幕府や徳川家に関係する出来事
  • 地方・諸国:各地の大名・城・人物・地域に関する出来事
  • 海外・外交:海外貿易や外国との関係に関する出来事

1635年(寛永12年)の出来事

この年の将軍は徳川家光、天皇は明正天皇です。 参勤交代の制度化や日本人の海外渡航禁止など、幕府の統制が大きく強まります。

3月

  • 江戸・幕府 11日、柳川一件が起こる。対馬藩主・宗義成と家老・柳川調興が、日本と李氏朝鮮の間で交わされた国書の偽造をめぐって対立し、柳川調興は南部へ配流される。

5月

  • 江戸・幕府 28日、幕府が日本人の海外渡航を全面的に禁止する。

6月

  • 江戸・幕府 21日、武家諸法度を改定し、参勤交代の制度化と500石以上の船の製造禁止を定める。

8月

  • 海外・外交 朝鮮への幕府からの書簡で、将軍の称号を「大君」に統一する。

9月

  • 江戸・幕府 6日、幕府がキリスト教の禁止令を再度出す。

11月

  • 江戸・幕府 幕府が評定所寄合の条規を定める。
  • 江戸・幕府 11日、幕府が寺社奉行を設置する。

1636年(寛永13年)の出来事

この年の将軍は徳川家光、天皇は明正天皇です。 江戸城の総構完成、日光東照社の大造営、出島完成、寛永通宝の鋳造開始などが目立ちます。

1月

  • 江戸・幕府 8日、幕府が譜代大名に江戸城の総改築の普請役を命じる。江戸城の総構が完成する。
  • 江戸・幕府 10日、高田馬場を造営する。
  • 琉球 20日、薩摩藩からキリスト教徒を探すよう指示される。

3月

  • 江戸 19日、酒井忠世が65歳で亡くなる。

4月

  • 下野 10日、日光東照社の大造営が終わり、正遷宮が行われる。

5月

  • 江戸・幕府 19日、幕府が外国人との間に生まれた子供を国外へ追放する。
  • 陸奥 24日、伊達政宗が70歳で亡くなる。家臣15名が殉死する。

6月

  • 江戸・幕府 1日、幕府が江戸と近江国坂本に銭座を設置し、寛永通宝の鋳造を始める。

8月

  • 江戸・幕府 2日、幕府が箱根関所の法度を定める。
  • 江戸・幕府 2日、幕府が難破船の積み荷に関する取り扱いを定める。

9月

  • 長崎 24日、長崎奉行がポルトガル人の妻子287名をマカオへ追放する。

11月

  • 江戸・幕府 9日、幕府が諸国の寺社に寺社領安堵の朱印状を与える。

日付不明

  • 江戸 上野寛永寺で観桜が行われるようになる。
  • 出羽 米沢藩で初の総検地が行われる。
  • 長崎 出島が完成する。ポルトガル人は出島へ移される。
  • 琉球 薩摩藩が琉球王の称号を「中山王」から「国司」に変える。

1637年(寛永14年)の出来事

この年の将軍は徳川家光、天皇は明正天皇です。 島原天草一揆が起こる、江戸時代初期でも特に重要な年です。

2月

  • 京都 3日、本阿弥光悦が80歳で亡くなる。

3月

  • 肥前 佐賀藩の有田・伊万里で、製陶所に工人以外が住むことを禁じる。磁器技術の伝播を防ぐため、人の出入りを規制した。
  • 摂津 尼崎藩で銀札を発行する。
  • 出羽 10日、本多正純が73歳で亡くなる。

4月

  • 江戸・幕府 1日、幕府が平戸藩に銅の輸出禁止令を出す。
  • 江戸 1日、将軍家光が沢庵和尚を江戸に呼ぶ。

8月

  • 江戸・幕府 幕府が全国8か所に銀座を設置する。
  • 江戸 15日、江戸城本丸の改築が完成する。
  • 江戸・幕府 25日、大雨による収穫高を調査するため、巡見使を各地に派遣する。

10月

  • 肥前 25日、島原藩の農民たちが一揆を起こす。島原天草一揆の始まりである。
  • 江戸・幕府 26日、幕府が関東・甲信の農村に五人組という連帯責任制を行わせ、取り締まりを強化する。
  • 肥後 29日、唐津藩領でも島原天草一揆に呼応する動きが起こる。

島原天草一揆は、キリシタン弾圧だけでなく、島原城築城などによる重税や、領主による過酷な支配への不満も重なって起こったと考えられます。

11月

  • 江戸・幕府 9日、幕府が島原・天草を取り締まるため、板倉重昌を派遣する。
  • 江戸・幕府 27日、幕府が島原・天草へ松平信綱をさらに派遣する。

12月

  • 肥前 3日、一揆を起こした農民たちが原城に籠城する。
  • 江戸 18日、江戸中橋から出火する。火は諸大名の邸宅や市街を焼いた。

日付不明

  • 江戸・幕府 幕府が風呂屋の湯女の数を1軒につき3名までと制限する。
  • 江戸・幕府 幕府が対馬藩に銅の輸出を許可する。
  • 大坂 大坂上荷船と茶船についての条例を定める。
  • 陸奥 水戸と仙台で寛永通宝を鋳造する。

1638年(寛永15年)の出来事

この年の将軍は徳川家光、天皇は明正天皇です。 島原天草一揆が鎮圧され、その後のキリシタン取り締まりがさらに厳しくなっていきます。

1月

  • 肥前 1日、原城での攻防の中、幕府方の板倉重昌が討死する。享年51歳。

2月

  • 薩摩 23日、薩摩藩主・島津家久が63歳で亡くなる。家臣9名が殉死する。
  • 肥前 28日、原城に立てこもっていた一揆勢は食料が尽き、幕府の攻撃によって原城は陥落する。島原天草一揆は鎮圧され、首領とされた天草四郎時貞も敗死した。

3月

  • 陸奥 13日、仙台藩で家中法度が制定される。

4月

  • 江戸・幕府 12日、幕府が島原藩主・松倉勝家を改易する。唐津藩主・寺沢堅高は減封される。
  • 江戸・幕府 27日、幕府が沢庵のために品川へ東海寺を建立する。

5月

  • 江戸・幕府 2日、一揆などの場合、隣接する諸大名が出兵するための決まりを緩和する。また、商船については500石以上の船の建造を許可する。
  • 江戸・幕府 13日、松平信綱が幕府に島原天草一揆の鎮圧を報告する。

6月

  • 出羽 28日、米沢藩主・上杉定勝が、寛永検地を行うための法度を布達する。

布達とは、役人たちへの知らせのことです。

8月

  • 因幡 28日、荒木又右衛門が41歳で亡くなる。

9月

  • 江戸・幕府 20日、幕府が関東諸国の山境論争に関する訴訟法を定める。

10月

  • 江戸・幕府 29日、幕府が品川と牛込に薬園を開設する。

12月

  • 江戸・幕府 3日、江戸でキリシタン40名余りを処刑する。

日付不明

  • 江戸・幕府 幕府が大坂の商人に銅屋仲間を許可する。銅屋仲間とは、銅の輸出業者のことである。
  • 江戸 夏ごろから、伊勢へのお蔭参りが流行する。
  • 武蔵 川越藩が寺尾河岸で開削を行う。火事による木材などの資材運搬や、川の流れを緩やかにするためだった。
  • 尾張 尾張藩で六条元新田の開発が行われる。

1639年(寛永16年)の出来事

この年の将軍は徳川家光、天皇は明正天皇です。 ポルトガル船の来航禁止が出され、江戸幕府の対外政策が大きく変わる年です。

2月

  • 三河 大久保彦左衛門が80歳で亡くなる。
  • 長崎 21日、長崎在住のオランダ人妻子を国外へ追放する。

4月

  • 江戸・幕府 22日、幕府が諸大名に倹約令を出す。

5月

  • 出羽 米沢藩の郷村に切支丹横目を派遣し、キリシタンの調査を行う。

7月

  • 江戸・幕府 幕府がポルトガル船の来航を禁止する。
  • 江戸・幕府 4日、幕府がポルトガル人を国外へ追放し、沿岸の警備体制を強化する。
  • 江戸・幕府 8日、江戸城内に紅葉山文庫を設立する。
  • 海外・外交 25日、幕府が対馬藩と平戸藩に対し、来航するオランダ船との通商を許可する。
  • 江戸・幕府 28日、評定所にて諸藩の重臣にキリスト教禁止令と外国船来航に関する方針を命じる。

8月

  • 江戸 11日、江戸城の本丸が全焼する。

9月

  • 江戸 8日、柳生宗矩が将軍家光に剣術の奥義書を献上する。

10月

  • 長崎 オランダ人の日本人妻子を国外へ追放する。

日付不明

  • 江戸・幕府 幕府が対馬藩に、朝鮮からの薬種や絹物の輸入を許可する。
  • 丹波 篠山藩で藪検地が実施される。
  • 陸奥 相馬藩で貫文制から石高制へ統一される。
  • 蝦夷・北海道 松前藩がキリシタンの金山労働者106名を処刑する。

貫文制とは、土地の収穫高を通貨単位である貫を用いて表す制度です。

1635年〜1639年は幕府の統制と対外政策が固まる時期

1635年から1639年は、江戸幕府の支配体制が大きく固まっていく時期でした。

1635年には、武家諸法度の改定によって参勤交代が制度化され、日本人の海外渡航も全面的に禁止されます。 大名の行動と海外への移動を、幕府が強く管理するようになったことがわかります。

1636年には出島が完成し、ポルトガル人が出島へ移されました。 同じ年には寛永通宝の鋳造も始まり、幕府の経済制度も整えられていきます。

1637年から1638年にかけては、島原天草一揆が起こります。 キリシタン弾圧だけでなく、重税や過酷な支配への不満も重なった大きな一揆でした。 幕府はこれを鎮圧し、その後さらにキリシタン取り締まりを強めていきます。

そして1639年には、ポルトガル船の来航が禁止されます。 一方で、オランダ船との通商は許可されており、幕府が貿易相手を選びながら管理していく形がはっきりしてきます。

この時期は、一般に「鎖国」と呼ばれる体制につながる、江戸幕府の対外政策が大きく固まっていく重要な時期といえます。

⇒江戸時代1640年(寛永17年)から1644年(寛永20年 – 正保1年)の出来事

⇒ 江戸時代1630年(寛永7年)から1634年(寛永11年)の出来事