この時期は、徳川秀忠の時代から徳川家光の時代へ移っていく時期です。
江戸城や大坂城の整備、徳川和子の入内、家光の将軍就任、キリシタン弾圧、スペインとの断交など、江戸幕府が政治・外交・宗教を強く管理していく流れが見えてきます。
また、江戸では歌舞伎や相撲、問屋などの動きも見られ、都市としての江戸が少しずつ形を整えていく時期でもあります。
色分けの見方
- 江戸・幕府:江戸幕府や徳川家に関係する出来事
- 地方・諸国:各地の大名・城・人物・地域に関する出来事
- 海外・外交:海外貿易や外国との関係に関する出来事
1620年(元和6年)の出来事
この年の将軍は徳川秀忠、天皇は後水尾天皇です。
1月
- 長崎 ハビアン著作の『破提宇子』が完成する。
- 江戸・幕府 23日、幕府が西国・北国の諸大名に対し、大坂城修築の普請役を命じる。
2月
- 江戸・幕府 11日、幕府が諸大名に江戸城修築の普請役を命じる。
3月
- 江戸・幕府 幕府が浅草に米蔵を建設する。
- 陸奥 4日、仙台藩が江戸廻米を始める。
6月
- 江戸・幕府 18日、後水尾天皇の女御として、将軍秀忠の娘・徳川和子が入内する。
7月
- 長崎 6日、イギリス船とポルトガル商船が連行される。
8月
- 海外・外交 オランダ・イギリス商館員が、幕府に対してポルトガルやスペインの植民地政策について進言する。
- 長崎 マカオより帰国した平山常陳と宣教師2名が捕らえられる。
9月
- 江戸 12日、隅田川で出羽国山形藩主・最上義俊が妓女と船遊びをしていた際、船手方水主と争論になる。
- 琉球 19日、琉球王・尚寧が57歳で亡くなる。
日付不明
- 京都 夏ごろ、桂離宮の造営が始まる。
1621年(元和7年)の出来事
この年の将軍は徳川秀忠、天皇は後水尾天皇です。
幕府の外交管理や、各地の町・藩の制度整備が進んでいきます。
1月
- 江戸 23日、江戸尾張藩邸から出火し、桜田一帯の大名屋敷が20棟以上焼失する。
3月
- 陸奥 会津藩で、若松城下初の木綿売仲間が組織される。
- 海外・外交 明国が幕府に対し、日本人の盗賊の取り締まりを要求する。
- 江戸・幕府 21日、江戸城で柳生宗矩が徳川家光に兵法を伝授する。
4月
- 京都 煙草が原因と思われる火事が多発する。南禅寺門前、三条油小路、下鴨町などで火事が起きた。
6月
- 海外・外交 幕府が明国の使者に対し、日本との通信は対馬を通すべきだと伝えて帰国させる。
7月
- 江戸・幕府 27日、幕府が外国人による武器の輸出、海賊行為、日本人の売買を禁止する。
8月
- 江戸・幕府 幕府が西国諸大名に対し、難破船や漂流船の取り扱いに関する条令を制定する。
9月
- 海外・外交 シャム国の使節が徳川秀忠に拝謁し、秀忠が国書への返答を行う。
- 陸奥 20日、会津藩の城下で、浪人の宿泊、借金、人身売買などに関する条令を定める。
- 江戸・幕府 23日、マカオからのオランダ船による妨害行為の報告に対し、幕府が返書する。
10月
- 陸奥 20日、津軽藩で人数改めが実施される。
12月
- 京都 13日、織田長益が75歳で亡くなる。
日付不明
- 諸国 諸国で伊勢踊りが流行する。
- 陸奥 相馬藩と仙台藩の間で、境界をめぐる争いが起こる。
- 下総 利根川の改修工事が行われる。
1622年(元和8年)の出来事
この年の将軍は徳川秀忠、天皇は後水尾天皇です。
長崎で元和大殉教が起こり、キリシタン弾圧がさらに強まる年です。
2月
- 江戸・幕府 10日、幕府が伝馬駄賃を定める。同時に、撰銭を再度禁止する。
- 江戸・幕府 18日、幕府が江戸城本丸・天守閣の改築のため、諸大名に普請役を命じる。完成は11月となる。
3月
- 出羽 1日、秋田藩主・佐竹義宣が、百姓たちに大眼宗徒への私刑を禁止する。
大眼宗は1620年ごろに流行した宗教で、太陽と月を崇拝していたとされます。
信徒の中にキリシタンがいたことから、キリスト教と同一視され、邪教として扱われることもありました。
4月
- 阿波 16日、徳島藩が塩田についての定書を出す。
7月
- 江戸・幕府 13日、幕府が長崎で、長崎商人の平山常陳と密航してきた2名の宣教師を処刑する。
8月
- 江戸・幕府 5日、長崎で幕府がスピノラ神父と55名のキリシタン信者を処刑する。元和大殉教である。
- 京都 20日、町人の商売、火事、訴訟などに関する9か条の京都市中諸法度が制定される。
10月
- 江戸・幕府 1日、幕府が宇都宮藩主・本多正純を出羽国由利郡へ改易する。
日付不明
- 京都 春ごろ、毛利重能が『割算書』を刊行する。
- 海外・外交 明国が琉球に5年1貢の朝貢貿易を許す。
- 江戸・幕府 幕府が外様大名に、妻子を江戸に住まわせる。
- 文化 小瀬甫庵が『信長記』を刊行する。これは太田牛一の『信長公記』を書き直したものとされる。
1623年(元和9年)の出来事
この年は、徳川秀忠から徳川家光へ将軍職が移る大きな節目の年です。
第3代将軍・徳川家光の時代が始まります。
2月
- 江戸・幕府 10日、幕府が越前国北庄藩主・松平忠直を不行跡として配流する。
- 江戸・幕府 15日、幕府が町人・浪人の江戸武家宅地内での居住を禁止する。
7月
- 江戸・幕府 27日、徳川家光が伏見城で第3代将軍に任じられる。将軍宣下である。
8月
- 京都 24日、禁中で法華八講が行われる。
- 江戸・幕府 幕府が禁裏御料1万石を献上する。
- 江戸・幕府 28日、諸大名が二条城・伏見城で秀忠と家光に拝謁する。
法華八講とは、『法華経』8巻を1巻ずつ8回に分けて講義し、たたえる法会です。
10月
- 江戸・幕府 13日、芝で原主水ら25人のキリシタンを火刑にする。
11月
- 肥前 13日、イギリスが平戸の商館を閉鎖する。これにより、日本からイギリスが撤退する。
12月
- 江戸・幕府 幕府がポルトガル人の居住を制限する。同時に、日本人のルソン渡航を禁止する。
日付不明
- 江戸・幕府 幕府が小堀政一を伏見奉行に任じる。
- 大坂 狩野探幽が大坂城殿閣の装飾を行う。
- 武蔵 川崎宿が開設される。
- 京都 安楽庵策伝の『醒睡笑』が作られる。
『醒睡笑』は、庶民の間に広く流行した話を集めた笑話集です。
8巻に1039話が収録されています。
1624年(元和10年・寛永元年)の出来事
この年は、元号が元和から寛永へ変わる年です。
家光の時代が始まり、幕府の外交・宗教管理がさらに厳しくなっていきます。
2月
- 江戸・幕府 幕府が諸国で流行していた伊勢踊りを禁止する。
- 江戸 15日、中橋南地に初代中村勘三郎が猿若座を開設する。江戸で歌舞伎興行を始めた出来事である。
- 日本の元号 30日、甲子革命説により、寛永に改元される。
3月
- 江戸・幕府 24日、幕府が前年度に薩摩へ来航したフィリピン諸島長官使節の江戸入府と復交要求を拒否する。これにより、スペインと断交する。
4月
- 江戸・幕府 11日、林羅山が徳川家光の侍講となる。
6月
- 出羽 3日、秋田藩で32名のキリシタンが処刑される。
8月
- 駿河 秀忠の三男・徳川忠長が駿河城主となる。
- 薩摩 薩摩藩が奄美諸島を蔵入地とする。
9月
- 江戸・幕府 22日、江戸城西の丸御殿が改築され、秀忠が移る。
11月
- 江戸 13日、島津家久が妻子を江戸藩邸に移す。
- 京都 28日、女御・徳川和子が中宮となる。
12月
- 江戸・幕府 19日、朝鮮通信使が徳川家光に拝謁する。
日付不明
- 江戸・幕府 幕府が沿岸の諸港で、キリシタンの来航を警戒する。
- 江戸 日本橋大伝馬町に木綿問屋が成立する。
- 江戸 四谷塩町で相撲の興行が行われる。江戸の勧進相撲の始まりとされる。
- 江戸 八丁堀に霊岸島を築く。
- 陸奥 津軽藩が3年かけて青森港を完成させる。
- 大坂 大坂で泉屋平右衛門が江戸積船問屋を開業する。
1620年〜1624年は秀忠から家光へ移る時期
1620年から1624年は、江戸幕府がさらに制度を固め、徳川秀忠の時代から徳川家光の時代へ移っていく時期でした。
江戸城や大坂城の修築、幕府による大名への普請役、外様大名の妻子の江戸居住など、幕府の統制はより強まっていきます。
一方で、キリシタンへの弾圧も厳しくなりました。
1622年には長崎で元和大殉教が起こり、1623年には芝でキリシタンが処刑され、1624年には秋田藩でも多数のキリシタンが処刑されています。
外交面でも変化がありました。
イギリスは平戸商館を閉鎖して日本から撤退し、幕府はスペインとの関係も断ちます。
海外との通商は続きますが、幕府の管理はより厳しくなっていきました。
また、江戸では猿若座の開設、木綿問屋の成立、勧進相撲の始まりなど、都市文化や商業の動きも見えてきます。
政治だけでなく、江戸という都市が大きく育っていく時期でもありました。
この時期は、家光の将軍就任によって、次の寛永期へつながる重要な転換点といえます。
